死と安楽の間で

〜安楽死、尊厳死について考えるブログ〜

スイスにおける、安楽死と自殺幇助の法律について

ディグニタスのホームページは勉強にもなって面白い。
いくつかの国において、自死はどのように法律で決められているのかを紹介しているページがあった。

ベルギーやオランダは2002年、2015年には台湾など、様々な国が自死を選択する法律が認められたとのことを改めて見ると、1942年から自死の選択とサポートを犯罪とはしていなかったスイスは特異的である。

しかし、ディグニタスのホームページにあるスイス刑法の文言をよく読んで見ると、解釈的に認められたものであるかのような論理構成をとっている。以下、英訳である。

1942年1月1日に発効したスイスの刑法は、selbstsüchtig な動機から自殺幇助を罰する、とあります。 selbstsüchtig とは、スイスドイツ語、 "利己主義、身勝手"というように翻訳され、明らかに卑劣な、自我主義的な動機を取ることを明確にするために "selbstsüchtig"という言葉を使っています。
一例を挙げるのであれば、故意にその人に財政的支援を払う必要がなくなるために自殺する人を扇動すること、また早期に死ぬようほのめかすこと、そのような嫌がらせの動機が与えられなければ、犯罪としないということです。スイスでは、自発的または非自発的な両方の安楽死が禁止されています。”

まず注意しなければならないのは、最後の文言にある、スイスでは安楽死を禁止しています、というものである。あれ? スイスは安楽死していいんじゃないの?と思うかもしれない。スイスでは医師が安楽死の薬を投与する“安楽死”、と医師が薬を処方し、患者自らの決断で自死する“自殺幇助”は、はっきりと区別されてある。前者は禁止されており、後者は合法である。

さらに、興味深いことは、先述した論理構成の点であり、「他人の自殺をほのめかされて自死を選択する場合は違法」という法律を、「自らの熟慮で選んだ場合は合法」と解釈的に根拠づけていることだ。

はたして1942年に安楽死の議論があり現在ような法律になったのか、または、60年前に作った法律が超高齢社会、医療社会の現在に合わせて再解釈されたものなのか、これに関してはおそらく、より詳細な調査、研究が必要だろう。このディグニタスのホームページは色々なデータが掲載されているので引き続き勉強してみたい。