死と安楽の間で

〜安楽死、尊厳死について考えるブログ〜

カナダにおける尊厳死の法律を巡る状況について

前回のブログでカナダが安楽死をめぐって司法と立法が対立していることを紹介した。しかし、少し事情を調べてみると、ディグニタスのホームページの説明だけでは不十分であることがわかった。以下、自分がインターネットのニュースやウィキペディアを見た限りの整理である。

まず、1992年に、ALSを患い余命2年と宣告されたスー・ロドリゲス氏が、尊厳死を認めてもらうべく訴えを起こした。しかし、その起訴は退けられた。ロドリゲス氏は2年後にロドリゲス氏は匿名の医師に処方してもらい、自死した。(ちなみにこの医師は起訴を免れた)

2015年に最高裁の決定により、スー氏の訴えに対する判決を覆した。そして、それを法律で定めるのに時間がかかるので、12ヶ月、そして、さらに4ヶ月の猶予を政府に与えた。

しかし、カナダ政府の定めた法律(Bill-C 14)では、「死が合理的に予見可能な場合のみ」という、条件付きの法律であったため裁判所の判決と矛盾することとなった。最高裁判所の決定が、尊厳死を本当に望む人々、カナダに住む人々のコンセンサスだと考えるのであれば、政府が法律で決めた条件は、本当に尊厳死を求めてる人にも制限してしまうことになる。

以上が、カンダでの安楽死尊厳死を巡る状況である。ここで重要なのは「予見可能性」が最大の争点になっている点であろう。次回は、この予見可能性をめぐって私自身が考察したことを、書いてみたい。